MarbLED: 人造/人工大理石透過型LEDタッチディスプレイ


キッチンや洗面台、浴槽などに使われる樹脂素材の一種「人工大理石/人造大理石」は、光を拡散・透過する特性があります。その特性を利用して、キッチンなどの天板の裏側にLEDマトリクスを配置してディスプレイ化します。加えて、赤外線を利用してタッチ検出する機能も同居させたLEDマトリクスデバイスを提案し、試作しています。また、そこで動作するアプリケーションのためのソフトウェアプラットフォームも開発しており、様々なインタラクティブアプリケーション開発が容易になっています。

視覚ディスプレイとしては、光や色は少々滲んで表示されますが、生活や料理の関連情報を表示したり、ゲーム的なことを表示したりといろいろ演出ができます。そして、その同じマトリクスデバイスでタッチ検出できたり、置いた物の範囲を検出できるようになります。住宅にある既設のキッチンや洗面化粧台を、後付けで埋込みタッチディスプレイと変化させ、新たなIoT(Internet of Things)の形を示す技術について、ぜひ動画をご覧下さい。



ソフトウェアプラットフォーム


ソフトウェアプラットフォームの構成図

赤外線センサ用のマイコンからはタッチや領域データがネットワーク越しに送信されます。そのイベントデータをアプリ実行処理用マイコンで受信し、我々が開発するミドルウェアの上で各種アプリが切替実行可能な形となっています。このミドルウェアには、アプリ開発用ライブラリも含まれており、表示やタッチデータの処理に関する様々なAPIが用意されています。さらに、アプリ・画面表示用のPC用のシミュレータも用意しています。シミュレータ上でもタッチデータ処理ができ、人工大理石による画素の表示滲みもシミュレーションすることが可能です。これにより、センサ基板や人工大理石などのハードウェア実機・実環境がなくとも、アプリ開発と動作確認が可能です。

現在は、このソフトウェアプラットフォーム上で、様々なアプリが動作するようになっています。


3次試作:LEDマトリクスディスプレイ機能と赤外線センシング機能の統合基板

2次試作で作成した赤外線センシング機能の表面実装化を踏まえ、可視光のLEDマトリクスと赤外線センシング機能とを統合化して、1枚の基板で同居させた基板を設計・開発しました。小型で正方形のタイル状の基板とすることで、縦横に並べて利用して、様々な形状やサイズのLEDタッチディスプレイとして構成できます。


2次試作:赤外線センシング基板

赤外線センシングの機能だけをプリント基板化してチップパーツによる表面実装で薄型デバイスとして試作しました。この基板を既存のLEDマトリクスを重ねて置き、基板に開けた穴を通したLED光でディスプレイとして機能するものにしています。

作成した赤外線センシング基板
(基板の下にLEDマトリクスパネルを配置)

各センシング点にガウシアンを畳み込んで領域として処理


初期試作

砲弾型のLEDとIR-LEDとフォトダイオードでLEDマトリクスとして構成したものです。

作成したLEDマトリクス(青色:IRLED、黒色:Photodiode)


アプリケーション例

キッチンではまな板などを置いていれば、その領域がわかるので、そこを避けてディスプレイで表示させることができます。また、置いてあるものに指示を出したり、キッチンタイマーや天気情報、電話のコールなどの表示、家電操作や、オーディオビジュアライザ、ゲームなどアプリケーションは様々です。


このディスプレイデバイスについては、チップパーツ化やフルカラー化を含め、より高度な実装に関する技術協力and/or共同研究して頂ける企業・エンジニアを探しています(寄付も大歓迎)。ご興味ある企業やエンジニアの方がいれば、教員の平#までご連絡下さい。メールアドレスは下記にあります。


対外研究発表
作品展示・メディア取材・出演など