ビジュアルプログラミング環境である PureData (pd) および Max/MSP 上で動作する GEM (Graphics Environment for Multimdia) は、その箱(オブジェクト)を線(パッチコード)で接続してプログラミングするという特徴を生かして、簡単にインタラクティブなコンピュータグラフィックス描画ができるライブラリ群です。ARToolKit for GEM は、マーカ型の拡張現実感 (Augmented Reality) ライブラリ ARToolKit をGEM上で動作させるものです。元々のARToolKitはC/C++等のプログラミング言語でないと扱えないとことから、コンテンツ制作に利用できる人が限られることのほか、制作作業における細かな調整作業やインタラクティブな動作確認にはあまり向いていないという問題点がありました。ARToolKit for GEMでは、オーサリング環境としても利用できるPureDataやMax/MSPのビジュアルプログラミングの機能を最大限に活かし、これらの問題点を解決します。カメラ入力などの設定はGEMに任せておいて、撮影された画像のストリームをARToolKit for GEMのオブジェクト(gem.artoolkit)に入力するだけで、認識したマーカの三次元位置と向きを出力してくれます。後はGEM上で様々なCG処理にその座標を用いることができます。また、GEM の一機能として動作するため、ビデオ入力の制御がより柔軟に行えるようになったことや、既存のムービーファイルの映像でも処理が可能であり、アプリケーション構築やテスト環境としての応用性も広がりました。
- 対外発表
-
- 平井重行: Augmented Reality オーサリングのための ARToolKit for GEM, 情報処理学会研究報告 2006-HI-119, pp.29-36, (2006) [pdf]
- その他執筆など
-
- 平井重行, 橋本直, 飯塚綾: ARToolKitではじめる拡張現実感プログラミング, 技術評論社 Software Design 2009年1月号 (2008) (記事執筆)